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偶像恋愛と偶像恋情

 私(著者)は、近年のアイドルブームについて色々と思うことがあります。もちろん、アイドルの存在や応援するファンの存在を全面的に否定するわけではありませんが、近年はちょっと"行き過ぎ"ではないかと思えてなりません。

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 ひと言でファンと言っても、実にさまざまなファンがいるので一概には言えませんが、アイドルを通して"疑似恋愛"をするような応援の仕方は、あまり良いこととは思えません。あくまでも「美しいから」「可愛いから」、彼女たちを見て、歌を聞いて元気をもらって、そして「ストレス解消をする」...といった感覚で楽しむ分には良いでしょう。

 ところが、近年のアイドルとファンの関係性において、"自分(ファン)がアイドルを育てる"という感覚がベースになっている点に一抹の不安を抱いているのです。八十年代の"きらびやかな憧れの存在"としてのアイドルではなく、アイドルをもっと身近に感じて親近感を抱き、それがブームになって、ますますファンが増えて人気が出る...このサイクルに、健全な人間心理とは矛盾する、何か異様なものを感じるのです。

 普通であれば、人気が出てファンが多くなれば多くなるほど、アイドルに対するファンの"親近感"は減少していくはずです。有名になれば有名になるほど、遠くに行ってしまうような感覚を覚えて、ファンは自然と身を引いていくはずです。つまり、単に"親近感"を売り物にしているのであれば、ファンの数は一定のところで頭打ちになるのが当然だと思うのです。

 "架空の世界"と"現実の世界"の境界線をキチンと把握していて、ただ可愛いから、美しいから、見ているだけで癒されるから...という認識で応援している状態を"偶像恋情"と言います。
 "架空の世界"と"現実の世界"の境界線が曖昧になっていて、相手(アイドル)も自分を覚えている、自分が応援したから成長した、恋人になれる可能性はゼロじゃない...という認識で応援している状態を"偶像恋愛"と言います。

 近年のアイドルブームは、もはや"偶像恋情"ではなく、非常に危険な"偶像恋愛"の領域にまで踏み込んでしまっているファンが多いことが特徴です。このことが、親近感を売り物にしているにもかかわらず、どんなに人気が出ても"ファンの数が頭打ちにならない理由"ではないかと考えています。

 一度、偶像恋愛にのめり込んで"架空の世界"に味を占めてしまうと、現実の世界をおろそかにする傾向が高まってきます。最悪の場合、いわゆる"社会不適合者"になってしまうかもしれません。

 人には、"何度も見る"、"長い時間見る"、"ガン見する"ことで、その対象をより好きになる心理作用があります。

 引き合いに出す時代が古すぎるとは思いますが、たとえば、江戸時代よりも前の時代には、テレビもなければ写真もありませんでした。異性の顔を"ガン見"するためには、恋人か夫婦にでもならない限り不可能な時代でした。

 ところが、今の時代はそれがたやすくできてしまいます。テレビの普及によって、動きと声が連動したアイドルの姿を"ガン見"できるようになりました。録画ができるようになって、好きなときに好きなだけアイドルを"ガン見"できるようになりました。さらに、インターネットの普及によって、"ガン見"する機会は無限に広がっていきました。

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 ですが、ちょっと考えてみてください。相手(アイドル)はあなた(ファン)のことを"ガン見"していません。視界に入ることもほとんどなく、あなたの"存在"ですら限りなく"無"に近いものと言えます。

 仮に、握手会などに行って顔を憶えてもらったり、ときには名前まで憶えてもらったとしても、あなたの存在は、ファンというカテゴリーの中で何百何千何万分の一でしかなく、アイドル個人の人生においても、しょせん"友達未満、知り合い以下"の存在です。好きという気持ちや親近感は、完全に一方通行なのです。

 これって、つまり、"究極の片思い"じゃないですか?
つまり、"世界でいちばん寂しい片思い"が、日本じゅうのあちこちに溢れかえっているということです。
 しかも、普通の片思いではありません。テレビやインターネットで一方的に"ガン見"できる、限りなくリアルに近くて、けっしてリアルではない、抜け出すには困難を極める"究極の片思い"です。


 ここで、以前キャバクラ嬢をやっていた女友達が話していた言葉を紹介します。

「女の子(=キャバクラ嬢)の中にはお客さんとつき合う人もいるけど、そのお客さんに恋愛感情を抱くか抱かないかは、初めて接客した時(初対面)にすべてが決まる...」

 その後、そのお客さんには「もうお店には来ないで。外で会いましょう。」と伝えるのが一般的だそうです。一見、相手の"財布の中味"を気遣っての言葉のように感じますが、実は、それだけではないそうです。「自分のためにお金を使えば使うほど、気持ちが醒めてしまうから」だそうです。

(キャバクラ嬢とアイドルではぜんぜん違うよ。一緒にしないで欲しい...)

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...なんて声も聞こえてきそうですが、基本的に"女性"を売り物にしているという点で共通しています。また、それだけでなく、こういった感覚は"普遍的な女性の心理"でもあるのです。

 一般的に女性は、よりレベル(ポテンシャル)の高い男を好みます。最低でも、"自分よりは"レベルが高い男でなければ、けっして受け入れることはしません。

 自分のために一生懸命になったり、自分の魅力を高く評価してお金を使ってまで会いに来るような男に対して、レベル・ポテンシャルが高い男という印象を抱くことは決してあり得ないのです。そういった男は、むしろ"自分よりもレベルの低い男"と認識してしまうのです。

 自分のために一生懸命になってくれて恋愛感情として喜びを覚えるのは、すでにその時点で相手のレベルが高いことを認めている場合に限ります。

 私が、世の男性たちに言いたいのは、あまりアイドルにのめり込み過ぎないようにして、もう少し現実(リアルの世界)に目を向けて欲しいということです。
 キチンとした恋人ができて、リアルの世界で本当の恋愛が楽しめるようになると、アイドルへの関心は薄くなっていきます。そして、恋愛経験を重ねて、自分に自信がつき、女の子からモテるようになってくると、アイドルにますます興味を失っていきます...いや、アイドルという存在への興味は、ちょっと違った形に変質していきます

 そう、まるで自分自身が"ファンの女の子たちを大勢抱える"アイドルであるかのような気分になっていくのです。

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●蜜柑寮
〜キミを奪う天使とボクを救う悪魔〜

『蜜柑寮』 書籍画像1

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■リアルな恋愛の第一歩すら踏み出せない人が行なうべき【その準備と初めの一歩】!

■著者:木下雄介
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